奇岩が様々な滝を見せる曽木の滝公園から車を1.5㎞ほど下流に走らせると、目的の遺構がある。鶴田ダムの水位が下がった時期にだけ姿を現すのだ。
左岸に設けられた展望所から対岸を眺めると、廃墟となった古城のごとき姿が目に飛び込む。自然がつくる曽木の滝の眺めとは全く異なる衝撃を受ける。
通常年なら既に遺構は水面に沈んでいるはずだが、今年(2014年)は鶴田ダムの工事のため水位が下げられその全体像を見ることができた。
遺構はレンガ造りで、長手だけの段と小口だけの段を交互に積む方法により築かれている。赤レンガが組み上げられているらしいが、遠目に見た限り赤い色を確認できない。
遺構の姿を眺めたのは対岸の展望所からである。しかし、離れているため細かい造りを見ることはできない。遺構がある対岸にアクセスを試みる。
途中に案内板があり期待したが、アクセス道路入口にはフェンスが張られ施錠されていた。近づくことはできなかった。フェンス越しに見るアクセス道路は整備されており、見学できず残念であった。
九州地方整備局鶴田ダム管理所のサイトによれば、牛尾大口金山へ電源を供給するため1909年に建設された水力発電所跡である。レンガ造りで、曽木の滝の落差を利用して発電を行っていた。遺構は2004年から2010年まで補修工事が行われた。堆積土掘削、鉄骨補強、壁面補修など建物を保存する工事であった。2006年、国指定登録有形文化財に登録されている。
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旧曽木発電所本館
鹿児島県伊佐市大口宮人地内
管理:九州地方整備局鶴田ダム管理所 0996(59)2030 HP
国指定有形登録文化財
水力発電所遺構
展望所からの見学無料
撮影:2014/10/4