ラベル 055 集成館関連遺跡 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 055 集成館関連遺跡 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

旧鹿児島紡績所技師館(異人館)

仙厳園前の国道10号沿いにコンビニとファミレスがある。共用する駐車場の奥まった場所に異人館専用駐車場が表示されている。無料だ。



小道を挟んだ先に木造2階建ての洋館が建っている。正方形の建物だ。
箒の目が美しく入った庭に足を踏み入れる。植栽も見事に整備されている。屋根は寄棟の瓦葺で、先端には飾り屋根が葺かれている。説明板に表示された図面には煙突が屋根に描かれているが、現在の建物には見当たらない。




玄関ホールは2階建てで、五つの面で構成されている。特徴ある造形だ。1階部分は回廊する土間が配置され、窓などの建具はない。柱の飾りは控えめで、色は褪せたような淡い紫色である。



館内の廊下には赤い絨毯が敷かれ来館者を迎える。歴史資料を展示している部屋、部屋そのものを保存している部屋などが並ぶ。部屋の入口には深いあめ色の重厚な扉が備わり、時を重ねたドアノブが歴史を語る。
館内の中央部分になだらかな階段がある。2階部の各部屋も立ち入り可能だ。玄関ホールの2階部分からは桜島を眺めることができる。2階部分にも回廊が設けられ、四方の風景を心行くまで楽しめる。




建物は内側から補強されている。窓は外観の印象を壊さないように配慮した二重窓である。

紡績事業などに要した専門技術、その技術の指導にあった英国人技師たちがこの建物を宿舎とした。薩英戦争の相手国が産業振興に協力したことは、歴史の不思議でもある。


旧鹿児島紡績所技師館(異人館)
鹿児島市吉野町磯9685-15
099(247)3401 HP
竣工:1867年
国指定重要文化財
200円
8:30~17:30
無料駐車場5台
撮影:2016/1/16

旧集成館機械工場(尚古集成館)

仙巌園の入口手前左手に駐車場がある。隣接して直線的な意匠の平屋が建つ。尚古集成館である。
ゆったりとした庭には芝が張られ、数本の木々を従えている。瓦が吹かれた屋根は寄棟で、石が積み上げられた壁で建物は構成されているようだ。長屋のように長辺は長く奥行きは浅い。




四角に積み上げられた石は上部から基礎部分に向かい太くなる。建物の途中にある柱のような石積みも上部から基礎に向かい太くなる。実に安定した印象を与える。壁の基礎部分には角が丸められた石が並ぶ。優しい表情だ。




石壁には小さめの窓が規則正しく並ぶ。窓枠の上部はわずかに孤を描く。控えめなアクセントだ。
裏手に回る。意匠は正面と同様である。壁の所々に年月の経過を語る汚れがある。陽光が届かないためかもしれない。



館内は写真撮影が禁止されている。やや暗い照明の中で歴史資料が展示されている。鎧や集成館機械工場時代の機械などが来館者を幕末へ誘う。



天井を見上げると大きな梁が屋根を支えているのがわかる。資料に目が向くが、建物そのものにも魅力を感じる。残念ながら天井部分を照らす明かりは乏しい。


旧集成館機械工場(尚古集成館)
鹿児島市吉野町9698-1
099(247)1511 HP
竣工:1865
国指定重要文化財
仙巌園HP
入場料:1000円(尚古集成館と共通)
8:30~17:30
撮影:2016/1/17

反射炉跡

仙巌園の入口を入ると、正面に高さ2mほどの石積みがある。
階段を上がってみると複雑な造形を見せる石組みの場所がある。銑鉄を溶かす施設で、大砲の製造に用いられた反射炉跡である。



前情報がなければ並べられた石の列に関心は湧かないかもしれない。幕末、この場所で英国と薩摩の戦争に使用された大砲が製造されたのだ。反射炉は時代の動きに重要な役割を果たした。




反射炉跡に並ぶ石は凝灰岩で、反射炉を構成する基礎部分の石積みが残されている。三方向から間近に眺めることができる。




どのような形状の反射炉が立っていたのかを知るには当時の資料を読み解くほかにないが、見る者がそれぞれに想像をめぐらすのも楽しい。


反射炉跡
鹿児島市吉野町9700-1
「九州山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会HP
竣工:1857年
国指定史跡
仙巌園HP
入場料:1000円
8:30~17:30
撮影:2016/1/17

寺山炭窯跡

寺山公園に車を停め、杉や竹、雑木が茂る林の中に入る。アップダウンする木立の道を10分ほど歩くと平坦な場所に石積みや石碑が見えてくる。
木炭を生産した窯跡で、集成館の事業に使用されたらしい。




凝灰岩で組み上げられた窯は入口の上部で二つの石がアーチ形を作り特徴的な姿を見せる。石は布積みされ、内部は枇杷のような湾曲した形状である。
説明によれば、粘土をドーム状に塗り固めて天井部分を成形し火を入れたようだ。シイノキなどを原材料として生産された木炭は良質の白炭だったらしい。




美しい形を見せる石積みだが、内部への立ち入りは禁止されている。周囲にもロープや柵が設けられている。



辺りは雑木や竹が茂り人影はない。世界遺産の構成史跡であるがアクセスに恵まれないからだろう。


寺山炭窯跡
鹿児島市吉野町10710-68
「九州山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会HP
竣工:1858年
国指定史跡
撮影:2016/1/16

関吉の疎水溝・吉野疎水

田畑と山林が風景をつくる鹿児島市下田町の山懐に川が流れる。長閑な風景が待ち受ける場所だ。
俄かに整備された駐車場に車を停め、2分ほど歩く。整備された水路を眺めながら上流に向かうと取水口に達する。



説明板によれば、自然の流れから人工水路へ水を引き込む設備と水路が1852年江戸末期に竣工した。自然の岩などを活用して止水し導水したようだ。
得られた流れは集成館機械工場の動力源などに活用された。




水路そのものは一部が残っているに留まるが、関吉の疎水口から得られた水は現在も活用されているそうだ。


関吉の疎水溝・吉野疎水
鹿児島市下田町1263地先
「九州山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会HP
竣工:1691年
国指定史跡
撮影:2016/1/16