水ノ子島灯台下梶寄吏員退息所

豊後水道を間に四国と向き合う位置にある佐伯市、市街から30km弱鶴御崎方面へ車を走らせると、道は複数の小さな漁港を経由していく。小浦中越トンネルを出た中津浦からは中央線のない湾曲した海辺の道が続く。道はやがて二手に分かれ下梶寄に達する。



入江の限られた平地の中ほどに立地する下梶寄吏員退息所は、水ノ子島灯台の維持・管理を行う要員のための官舎として1903年に建てられた。木造平屋で洋館としての風情を保っている。石を組み上げた塀に守られる敷地内には、別棟に倉庫も存在する。




1954年12月、退息所はその役割を終え、1983年には鶴見町に払い下げられた。1987年3月、建物の改修工事が完了し資料館として現在に至っている。建物の周囲をぐるりと回ってみる。海に面する側には小さな目の窓が二つと扉だけが設けられている。建物は台風などの影響を最も受けにくい場所に建ち、台風の被害を最も受けにくい構造であることが伺える。




館内には灯台に関する歴史資料、海事に関する資料などが整理、展示されている。コーナーの一角には吏員の暮らしを再現した畳の間、台所なども設けられている。
廊下によりつながれた建物はトイレだ。当時の暮らしを知る資料として残されている。もちろん使用することはできない。





別棟の倉庫は渡り鳥館で、水ノ子島灯台の下に落ちた渡り鳥の剥製などが展示されているようだ。この日は扉は閉ざされ内部を見ることは叶わなかった。



水ノ子島灯台は遥か沖合いに立つ。澄んでいれば見晴るかすことができるらしい。元ノ間海峡段々展望所からデジカメで写してみるが、イメージ程度に留まる。背景に写るのは、四国のようだ。



間近で見たい気もする。佐伯宿毛フェリーの船上からは近くに見ることができるらしい。渡し船という手段もある。が、気軽に行けるわけでもない。


水ノ子島灯台下梶寄吏員退息所(現:水ノ子島海事資料館
大分県佐伯市鶴見大字梶寄浦537
0972(34)8855
有形文化財
竣工:1903.12.20
開館:9:30~16:30
料金:200円
休館:火・水
撮影:2015/5/1


水ノ子島灯台
大分県佐伯市鶴見大字大島2-1559
竣工:1903
初点灯:1904.3.20
離島の灯台では日本一の高さ(地上~頂部:39.25m)
撮影:2015/5/1