丹賀砲塔砲台・鶴見崎要塞群

佐伯市鶴見半島は豊後水道に突き出て、九州と四国の間の海域を見守っている。第2次世界大戦以前においては軍事面で重要な地勢を有していたようだ。

【丹賀砲塔砲台(現:丹賀砲台園地)】
昭和初期、軍事的戦略を踏まえた施設がこの半島に構築されている。女郎崎に丹賀砲塔砲台が建設された。現在、公園として整備されているので、当時の構造を知ることができる。主要な遺構は弾薬庫と砲台跡であろう。



弾薬庫は地下にあり、容易に入ることができる。奥まった場所にはなんとも広い空間が待ち受ける。床は菱形の模様がデザインされている。デザインが当時のものならばなんともしゃれている。ひんやりと物寂しい空気が来る者の言葉を閉じ込めている。



砲台跡へは地下斜坑に受けられた設置されたケーブルカーで上ることになるが、この日は故障中のため、階段(花崗岩)で上った。階段は172段あり急で、上り始めが極めて急である。特に下る際は膝がガクガクするほどであった。




砲台は1927年6月に着工、1931年9月に完成した。内部は11の部屋や設備などで構成されていた。砲塔井、砲側弾火薬庫(回廊)、水圧蓄力機室などである。内部は改修され、年表や写真などが掲示されている。




砲塔井には螺旋階段が設置され、砲台が設置されていたコンクリートの構造物を見ることができる。遺構を守るため、ドーム上の屋根が設置されている。
砲台に備えられたのは、巡洋艦「伊吹」の後部主砲であった30センチカノン砲二門といわれている。




ドームの外に出ることができる。展望所が設けられていて、豊後水道の風景を眺めることができる。



【鶴御崎要塞群(現:鶴御崎自然公園)】
県道604号で半島の先を目指す。6kmほど進むと鶴御崎自然公園のふれあい広場に達する。木立の中を5分ほど歩き上り詰めると、パノラマ展望ブリッジに届く。周辺には軍事遺構が残っている。




展望所では観測所跡を見ることができる。草に覆われ天井部分のコンクリートが一部損壊しているが、東へ開けた窓から海を監視していたことを連想させる。展望所の周囲では草木の間に砲台跡や官舎跡を確認できる。




鶴御崎灯台周辺にも軍事遺構が残っているらしい。




丹賀砲塔砲台(現:丹賀砲台園地)
大分県佐伯市鶴見大字丹賀浦577(女郎崎)
竣工:1931.9
開館:9:30~16:30
料金:200円
休館:火・水
撮影:2015/5/1


鶴御崎要塞群(現:鶴御崎自然公園)
大分県佐伯市鶴見梶寄浦
自由見学・無料
撮影:2015/5/1