旧三井港倶楽部

三池港から近い西港町、植栽された木々に囲まれ西洋風の建物が建つ。三池港の開港に合わせ建設された。
建設当時には和館も建てられたそうだ。現在は洋館のみが残る。2階建て屋根裏部屋付きだ。外国船の船員の慰安や社交の場として使われたらしい。




玄関を入ると受付の方が迎えてくれる。目に留まるのは談話室だ。他に応接間などがあるようだ。右手奥には食堂があり、手頃な価格でランチがいただける。室内に用いられる木は褐色に統一され、落ち着きとモダンを醸し出す。控えめな意匠のシャンデリア、座ることを躊躇させるほど美しい椅子、壁の色と調和したカーテンなどが繁栄の歴史を物語るようだ。



2階には寝室が用意される。各部屋の扉には番号と部屋の名称が記されている。来客をもてなす施設として機能したことが想像される。各部屋には暖炉が設けられ、デザインと機能の融合を見ることができる。至る所に飾られた焼き物や書なども貴重だ。階段を上った場所には昭和天皇が座られたソファーセットが息をしている。




バルコニーから庭に出ると、建物の全容が分かる。切妻屋根、下見板張り、褐色に塗られた柱が織りなす外観の印象は美しいという言葉が似合う。バルコニーから眺める庭も素晴らしい。




1986年に改修が施されたらしい。施設の維持管理には多額の費用が必要だろう。石炭産業の盛衰を証言する施設として貴重な建物だ。



レストランを利用しなくても見学はできるようだ。でも、レストランでおいしい食事をすることが歴史を残す助けになる。

※追記
2017/5/31ニュース。三井松島産業(福岡市)へ売却されたとのこと。運営はエムアンドエムサービス(大阪)で、営業は継続されるらしい。


旧三井港倶楽部
福岡県大牟田市西港町2-6
0944(51)3710 HP
竣工:1908年
設計:清水組
市指定文化財
見学可 11:30~14:30
休:火曜日
レストランとして営業中
撮影:2017/5/3