三池炭鉱三川坑跡

コンクリート製の門柱の間を車で通り抜けると駐車場が確保されている。右手には建物が並び、ガイドの方々が待ちかまえる。15分ほどビデオ鑑賞を勧められる。その後ガイドの方が説明の傍ら施設内を案内する。



最初に目につくのはエンジ色の電気機関車だ。4台が展示されている。明治から昭和初期に製造された機関車である。運転席を見学することができる(有料:500円/10人まで)。



現在、残されている建物の中で炭鉱の面影を残すひとつが入昇坑口だ。第二斜坑口へ向かう入口だ。木造の建物はひどく朽ちているが、中へ立ち入ることができる。その先にあるのが人車乗り場だ。錆びてしまった人車が残されている。坑口はコンクリートで閉ざされている。





人車乗り場を出て敷かれたレールの先へ向かう。視線を向けたのは今にも壊れ落ちそうな木造の建物だ。作業前の確認などを行う繰込場という建物で、緑色の網で覆われている。崩落による危険を防止しているようだ。立ち入りはできない。




更地の手前に説明板が建つ。第一斜坑の跡だ。この第一斜坑こそが1963年11月9日に発生した炭塵爆発事故の現場である。その後影を追いかける遺構などは残されていない。



繰込場の北側にスレートで覆われた建物がある。コンプレッサー室で削岩機などの動力源を生み出していた。現在も巨大な設備が残されている。屋根の半分は崩れ落ちている。



太い鉄のタンクが横たわる先に比較的しっかりとした印象の建物が見える。第一巻揚機室だ。第一斜坑の巻揚を担っていたと思われる。内部にはいつでも使えそうな巨大な巻揚機が置かれている。1997年まで使われていた機械だ。



第二斜坑の巻揚機室だ。屋根の一部が崩落し空が見える。巻揚機はそのまま残されている。風雨によって残された機械は腐食が進むだろう。壁には当時の記述がそのまま残されている。



ガイドの方は閉山当時、働いていたそうだ。丁寧な説明に恐縮した。明治から昭和の産業を支えてきた石炭、危険と隣り合わせの労働に心を痛めた。



三川坑跡は、いわゆる「明治日本の産業革命遺産」には含まれない。数年前までは入口は閉ざされ、立ち入ることはできなかった。


三池炭鉱三川坑跡
福岡県大牟田市西港町2-1-1他
公開日:土・日・祝日
公開時間:9:30~16:00(4月~11月は16:30)
入場無料
撮影:2017/5/3