肥薩線ループスイッチバックと駅舎群

JR肥薩線の人吉駅と吉松駅の間には3つの駅が存在する。普通列車は1時間ほどで、観光列車は1時間15分ほどで人吉・吉松間を結ぶ。740円の乗車券があれば人吉から吉松まで乗ることができる。観光列車いさぶろう・しんべい号であっても自由席なら乗車券のみで利用できる。

【人吉駅】


人吉駅3番ホームに入る「いさぶろう1号」だ。熊本駅から人吉駅までは特急、人吉駅から吉松駅までは普通列車として運行する。背後には石造車庫が建つ。蒸気機関車用の転車台が現役で稼働する。人吉駅の構内に入っても、フェンス越しであっても、鉄道と観光を楽しめる。

【大畑駅】



「おこば」と読む。標高290mほどの高地にある。人吉駅が100mほどの高さなので、190mほどの高低差を上ったことになる。大畑駅はループしながらスイッチバックする線路の途中にある。さらに高い536mほどの標高にある矢岳駅を目指すためだ。駅舎には名刺が貼られている。至る所、名刺だらけだ。

【矢岳駅】



肥薩線で最も高い場所に建つのが矢岳駅だ。駅舎の側では蒸気機関車1輌が静態保存されている。以前は2輌保存されていた。その1輌はSL人吉として動いている。駅構内には石造りの円形構造物が残る。蒸気機関車に水を補給するための給水塔だったと思われる。

【真幸駅】



矢岳トンネルを抜けると列車は下り始め、宮崎県に入る。間もなく左側に見えてくるのが真幸駅だ。列車は一旦駅舎を通り過ぎ停止する。スイッチバックして駅舎に入るのだ。ホームには鐘がある。幸せの鐘といわれ、人々は列をなしたたいていた。駅舎では様々な土産物が売られている。

【吉松駅】



吉松駅は鹿児島県に所在する。のどかな水田風景が広がる湧水町だ。町内には温泉が点在する。モール泉と呼ばれ、褐色が特徴だ。いさぶろう1号は終点を迎え、折り返ししんべえ2号として人吉を目指す。吉松駅では吉都線と合流する。吉松駅の構内では駅弁(たまり)を求めることができる。650円、幕の内弁当だ。

人吉駅と吉松駅の間は濃密だ。スイッチバック2か所とループを体感できる。真幸駅と矢岳トンネルの間からは霧島連山を眺めることができる。日本の近代化を支えた鉄道の躍動に今もって触れることができるのだ。

【人吉駅】


人吉駅にはSL人吉、かわせみ、球磨川鉄道の田園シンフォニー、いさぶろう・しんべいが乗り入れる。いずれも観光列車だ。人口3万3千の小さな地方の町でありながら駅の賑わいをみれば、鉄道を活かした観光が成功しているように見える。

2014/10の記録


肥薩線ループスイッチバックと駅舎群
大畑駅 熊本県人吉市大野町
矢岳駅 熊本県人吉市矢岳町
真幸駅 宮崎県えびの市大字内堅
駅舎見学無料
現役駅舎
撮影:2017/8/11