国道212号日田街道から県道318号に折れ、杉木立ちを抜け山里の風景の中を進むと巨大なコンクリートの構造物が突然現れる。旧国鉄宮原線の橋梁だ。
大分県九重町の恵良駅から肥後小国駅までをつないでいたが、昭和59年に廃線となり、その後は遊歩道として使用されている。
6連アーチ橋は長さ116mに達し、県道と樅木川に架かっている。山里の風景と同類ではないものの、70年余りを経過し馴染んだ風景は、人々に違和感を与えていないようだ。
橋梁として最も特徴的なのは、そのデザインだ。主たる橋脚にはそれぞれ3つの穴がある。穴は、雫のような曲線を描いている。何らかの目的があってのデザインだろう。
九重から小国にかけては魅力的な温泉も多い。宮原線が現存していれば列車に乗り、九重から小国に至る山里風景を温泉とともに味わうことができたかもしれない。
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幸野川橋梁(こうのがわきょうりょう)
熊本県阿蘇郡小国町大字北里字西村
登録有形文化財
竣工:1939頃(文化庁HPより)
廃線され現在は遊歩道
撮影:2014/9/13