旧佐世保無線電信所(針尾送信所)

ハウステンボスに近く、大村湾と佐世保湾をつなぐ針尾瀬戸に架かる西海橋からも見える位置に、極めて高い塔が3つ立つ場所がある。国道202をドライブする場合は、必ず目に入る。
昔、戦時中、通信に用いられた構築物ということは承知していた。この頃、見学できるようになったことを知った。



畑の間を抜けて行くと塔が間近に迫る。巨大さに驚く。砂利を敷き詰めた小さな駐車場がある。こちらに車を止め、見学受付に向かう。受付のある建物は石が組まれた建物だ。当時は油庫として使用されていたようだ。複数で見学すると、付き添って説明をしてくれるようだ。



見学できる塔は3号塔だ。整備されているが運動靴がベター。それにしても巨大だ。塔の基礎部分は直径12.12mで、高さは136m。各塔間は300mだ。




鶯色の扉を開けて中に入る。暗い。目が慣れると、内部の様子が次第に分かる。足元にワイヤーらしきものを巻き上げる機械と、塔の上部へ登るための階段があるだけだ。見上げるとその高さを実感できる。塔は鉄筋コンクリート造り。当時、これだけの構造物をよくも造ったものだ。




3つの塔の中心部にあるのが電信室だ。蔦が建物の壁を覆い、原形のありのままをうかがい知ることは出来ないが、石を組み上げて壁は作られているようだ。窓はアルミサッシに変わっている。説明板によれば、爆弾対策のため1階部分は埋められているようだ。見える部分が2階であることは、窓の下に1階部分の屋根らしき跡が残っていることからも分かる。




既に90年を超えて現存する塔、あと何年この地に立ち続けるのだろう。


旧佐世保無線電信所(針尾送信所)
長崎県佐世保市針尾中町750
問合せ:佐世保市教育委員会社会教育課 0956(24)1111
国指定重要文化財
設計:海軍技師吉田直(佐世保市報による)
竣工:1922(佐世保市報による)
見学無料(寄付箱あり)
遺構として保存
撮影:2014/9/20