三池炭鉱 万田坑

万田坑は熊本県荒尾市に属する。国道208号から県道29号に折れ、東進すると見えてくる。駐車場、チケット売り場などが整備されている。無料エリアから眺めることも可能だ。
現存する主な建物や構造物は、第二堅坑巻揚機室、第二竪坑櫓、倉庫及びポンプ室、第二竪坑口、事務所(旧扇風機室)、職場などだ。
最初に目に飛び込むのは赤レンガの意匠が印象的な第二堅坑巻揚機室で、背後にそびえる鉄の構造物は第二竪坑櫓だ。




櫓の隣にはレンガ造りの倉庫及びポンプ室が建つ。機材、表示板などは、可能な限り当時のまま残されているようだ。背後に回ると浴室、隣接して第二竪坑口がある。坑口はレンガ積みだ。第二坑口は立坑で、坑内に人と機材を送っていた。264mの深さがあった。現在は埋められているようだ。周りにはトロッコなどが残されている。





その先にはトンネル入口がある。奥へ線路がのびている。坑道ではなさそうだ。立ち入りは禁止されている。



倉庫及びポンプ室の向いに建つレンガ造りの建物は事務所で、旧扇風機室である。立ち入ることはできないようだ。レンガは色あせ、表面は荒れている。長い年月を過ごしてきた証でもあろう。



木造平屋建ての家屋が少し離れた場所にある。職場と表示されている。内部に入ると、当時使われていた機械類がそのまま置かれている。見上げると屋根は補修され、躯体は補強されている。可能な限り機能していた当時の面影を残そうとする意思が伝わる。



レンガ造りの建物群から少し離れた場所にコンクリートの壁に挟まれて、フェンスで囲われた場所がある。第一竪坑跡だ。近づくことも覗くことも叶わない。



敷地内は順路が設けられ、その案内に従い進むと第二堅坑巻揚機室前がスタートでゴールである。第二堅坑巻揚機室は立ち入ることができる。ヘルメットを渡される。



階段を上がると、巨大な歯車が目に飛び込む。ワイヤーロープなどは油が保たれ、手入れされていることが伺える。壁などには当時の表示板などがそのまま掲げられている。屋内は鉄骨で補強され、見学者を受け入れている。入口には黒光する石炭がさりげなく置かれている。





無料エリアに石で組まれたトンネルの入口がある。桜町トンネルである。万田坑から隣接する福岡県大牟田市へ抜ける生活用の通路だったようだ。現在は入口が閉ざされている。




三池炭鉱は福岡県大牟田市と熊本県荒尾市にまたがる。万田坑はいくつかある坑口の中でも、当時の建物等が比較的多く残されている。見学は有料だが、見ごたえは十分だ。


三池炭鉱 万田坑
熊本県荒尾市原万田200-2
万田坑ステーション 0968(57)9155
国指定重要文化財 国指定史跡
採炭開始:1902
見学有料 410円(9:30~17:00) 休:月曜日
撮影:2014/10/25