広場の片隅に2本の煙突が立つ。赤レンガで組まれたその高さは45mを超える。掲示によれば、竪坑捲上機の動力として利用されていた蒸気動力の排煙用として作られたようだ。



基礎が6角形に組み上げられた煙突が第1煙突、円形の基礎の煙突が第2だ。煙突本体はイギリス積み、手前ドーム部分は長手積みのようだ。



公園の北に建つ赤い塗装の構築物は竪坑櫓だ。高さは23mあり、1969年まで使用されていた。櫓の直下が第1竪坑だったようだ。櫓の土台側には人や炭車を乗せ、深さ300mの竪坑を上下した2段式のゲージも残されている。エレベータの函のような役割だった。




広場の一角に四角い台座と記念碑がある。第2竪坑櫓跡だ。1910年に完成し1969年まで使用された。閉山後は撤去され、第1竪坑の櫓のみが残された。竪坑は340mほどの深さだった。


石炭・歴史資料館のエリアに、炭鉱で使用された機械類が展示されている。公園側からもフェンス越しに見ることが可能だ。架線から電気を取り入れるための集電装置を備え、電気で動いたであろう機関車も展示されている。



炭鉱と直接の接点はないかもしれないが、蒸気機関車が静態保存されている。1922年1月16日、川崎造船所兵庫工場で作られた9600型で、行橋機関区で石炭や石灰石などを運んでいたようだ。フェンスで守られ、乗ったり、直接触れたりすることはできない。



公園は美しく整備されている。植栽されている木々は秋の深まりを語るように色を変えていた。空は雨を含んだ雲で覆われ、風景は霞みがちだった。

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三井田川炭鉱
田川市石炭記念公園
福岡県田川市大字伊田2734-1
煙突の完成:1908/3
第1竪坑櫓の完成:1909
見学自由
石炭・歴史資料館は入館料必要
撮影:2014/11/8