旧見立鉱山クラブハウス英国館

国道218号から県道に6号にハンドルを切り、日之影川に沿い進む。道は狭く、対向車が来れば離合場所に車を停めなければならない。落石注意の表示を多数眺めながら、その距離20数㎞を最高速度時速30㎞ほどで走るのだ。




紅葉が深い山々を彩る中、坂道を上り詰めた場所に英国館が建っていた。木造平屋建ての英国館は窓も木造りで丸太が多用されていることが伺える。敷地はさほど広くなく、建物南側は急傾斜地である。大正末期に建築されたそうだが、改修され流れた年月を感じない。足元に注意を払い敷地を一周すると、屋根の煙突に気付く。




館内に入る。やや薄暗い。廊下の南側には部屋が複数あり、見立鉱山で栄えた頃の写真や英国館を建てたハンス・ ハンター氏に関わる品々も展示されている。廊下の北側には洗面室、浴室なども残されている。小さな資料館だ。




廊下の突き当りには、リビングルームのように広い空間が待ち受ける。ソファーに座り、緑茶をいただける。一角には暖炉がある。戸外から見えた煙突はこの煙を排するためのものだ。北西角の壁際と南の窓辺には、長椅子が厚い板で造り付けられている。




窓越しに紅葉の風景が広がる。天井を見ると、丸太が多く利用されていることに気付く。洋風とも和風ともつかない意匠だが、木を多用した造りに不思議な落ち着きを覚える。輸送手段も限られていた当時、山深いこの地で多くの人々が働いていたことが想像できないほど静かな時間が過ぎていた。



良好ではない道路事情にもかかわらず、来館者は途切れない。
料金は館内にいる初老の女性に手渡しすることになる。


旧見立鉱山クラブハウス英国館
宮崎県西臼杵郡日之影町見立2107-8
国指定登録有形文化財
資料館として活用
入場料300円
時間:9:00~17:00/4月~10月 9:00~16:00/11月~3月
撮影:2014/11/16