旧出津救助院・出津教会堂(ド・ロ神父関連施設)

角力灘を右に眺め国道202号を南下していく。道の駅「夕陽が丘そとめ」手前の小田平集落に出津(しつ)教会堂など、ド・ロ神父が携わった建物が現存する。



なだらかとは言えない急斜面を縫うように設けられた細い道を進むと、海を見下ろす場所に旧出津救助院がある。主に3つの建物で構成されている。中心となる建物が授産場である。木造2階建ての授産場で修道女の生活の場でもあったらしい。





旧出津修道院を間に挟み煉瓦造りのマカロニ工場が建つ。白い漆喰が施された、美しい小規模の建物である。煉瓦造りながら、積まれている煉瓦そのものを見ることはできない。マカロニ工場の側には、平石を土と巧みに組みあわせ積み上げた「ド・ロ壁」と呼ばれる壁が残る。





小道を横切ると、ド・ロ神父記念館がある。木造平屋建てである。鰯網工場として建てられた。その後保育所としても利用されたようだ。現在は記念館として一般者にも解放され、内部を見学することができる。訪れた日は残念ながら休館日であった。

救助院を構成するこれらの建物は、近年、改修が施されたようだ。





ド・ロ神父記念館から小道を歩き、坂を少し上ると教会が見えてくる。出津教会堂である。瓦が葺かれた平屋造りの建物だ。掲示によれば、建設当時は半分程度の規模だったらしい。二度の増築を経て、現在の姿に至ったようだ。




壁は煉瓦で構成され、モルタルで覆われている。後に増築された鐘塔の部分には石が組み込まれ、入口部分は美しいアーチを描く。教会堂の駐車場に立つと、輝く海を一望できる。当初の建築、その後の増築とも、ド・ロ神父の設計・施工によるものとされる。





一体は文化村として整備されている。長崎市外海歴史民族資料館に車を停め、案内板に従い散策できるよう配慮されている。なお、傾斜地のため、移動には注意が必要だ。




旧出津救助院・出津教会堂(ド・ロ神父関連施設)
参考①:長崎県HP
参考②:長崎県観光連盟HP
旧出津授産場:長崎市西出津2696-1 竣工:授産場1883 国指定重要文化財
マカロニ工場:長崎市西出津2696-1 竣工:1883 国指定重要文化財
鰯網工場:長崎市西出津2633 竣工:1885 国指定重要文化財
出津教会堂:長崎市西出津2602 竣工:1882 国指定重要文化財
見学:救助院は入場料300円 教会堂内は許可必要 
撮影:2015/1/4