上椎葉ダム

九州山地の山懐に抱かれた椎葉村へは、アップダウンであったり狭隘であったりする国道を頼ることになる。
村の中心部へは進まず、離合もままならない県道142号を上っていくと突然に開ける。公園だ。




目に映るのは日向椎葉湖で、水を抱き止めるのが上椎葉ダムである。高さは110m、幅は341m、日本初のアーチ式ダムとされる。耳川水系を堰き止めて作られたダムで、水力発電を目的としている。水は直径5m、延長3200mのトンネルを通り発電所へ導かれているらしい。

ダムの上部は車で通ることができる。アーチ部の上から下を覗くと、100mの高さは恐怖心さえ覚えさせる。湖面は穏やかだ。続き広がる緑を映す。




公園の一角から三女神慰霊像(彫刻家富永朝堂作)が湖を見つめている。ダムの竣工までの間には105名もの犠牲が払われたことから、慰霊碑として建立された。
生み出された電気によって今日の生活は支えられている。先人たちの苦闘と犠牲のうえに我々の暮らしが成り立っていることを改めて知らされた。




村の中心部は、ダムから車で5分ほど。村は思いのほか賑わっていた。


上椎葉ダム
宮崎県東臼杵郡椎葉村下福良1732-2
九州電力HP
竣工:1955/4(掲示による)
施工:鹿島建設株式会社(掲示による)
外形見学無料
水力発電用ダム
現在稼働中
撮影:2015/3/7