知覧特攻平和会館周辺は公園やスポーツ施設が集まり、手入れされた街路樹が来訪者を迎える。
朝日が差し始めた時間、人影のないサッカー場の側に明らかに傾いたタンクを見つけた。
説明によれば、飛行学校の施設のとして建設されたようだ。高さは13mで、その真下に立ち入ることもできる。
土台はコンクリートで組まれているようだ。見た限りでは、タンクそのものの素材は判断できない。容量についての説明はないが、16トンほどと推量する。戦時中に建設された戦争施設ながら、現在まで自立していることに驚きを覚える。
給水塔に隣接した場所に、防火水槽跡が保存されている。「本部用の防火水槽」との説明がある。何の本部かは不明だが、火災などに備えての設備であることに違いはないだろう。説明によれば10年ほど前に移設されたとある。すり鉢状の水槽は3か所に階段が設けられ、説明のようにいざとなった場合には人の手によって汲み出す構造であったことが想像できる。
一部破損した部分がある。説明のように鉄筋などは使われておらず、大小の石が混ざった目の粗いコンクリート造であることがわかる。物資が不足していた当時の逼迫した状況が垣間見れる。
前述の施設から100mほど離れた多目的球場の植込みの中に弾薬庫が残っている。車も通る道沿いに建つ。訓練用の弾薬が保管されていたようだ。
屋根はないが、躯体はそのまま残されている。説明文がなければ、古く小さなコンクリートの塊としか見えない。立ち入ることも可能で、特段の規制はない。
知覧特攻平和会館には多くの人々が訪れているようだ。周辺には戦争の遺構が残されている。こうした遺構にも触れていただきたい。
□
知覧飛行場給水塔・防火用水槽・弾薬庫
鹿児島県南九州市知覧町郡
知覧特効平和会館HP
竣工:1941(給水塔)
見学自由
撮影:2015/5/5