長崎造船所(三菱重工業株式会社) 史料館・150tハンマーヘッド型起重機

長崎港の西側にクレーンが立ち並ぶ場所がある。三菱造船所だ。一般者が敷地内に入ることはできないが、唯一立ち入りが許されているのが史料館だ。続く赤煉瓦の塀が途切れた場所に見学者の入場門がある。守衛室で番号札を受け取り首に下げて赤煉瓦の史料館に入る。




訪問時は改修工事のため足場をシートが覆い、史料館正面から赤煉瓦の姿を見ることは叶わなかった。唯一エントランス上部のアーチ部に要石のごとく組み込まれた石が年月を重ねた建物であることを語りかける。




館内は想像を超える歴史資料が展示されていた。一つ一つが日本産業近代化を証言する興味深い資料で、一日ではとても目を通すことはできない。入口近くに展示されているのが国の重要文化財に指定されている工作機械「竪削盤」である。現代にもありそうな造形だ。幕府が1857年にオランダから購入したもので、日本で現存する最古の工作機械とされる。

史料館そのものも歴史資料といえる。1898年7月に三菱造船所併設の木型場として建設された。煉瓦造りの建物は補強と改修が重ねられているが、可能な限り建設当時の姿が残されているように思える。長崎造船所では最も古い建物である。




史料館以外に立ち入ることは厳しく規制されている。そのため、イギリス製150tハンマーヘッド型起重機を間近で見ることはできない。1909年12月に設置され既に100年を経過している。現役である。





対岸から、あるいは海からならクレーンを眺めることが叶う。鶯色のフレームはいささか華奢に見えるが、世紀を超えて稼働していることを思えば当時の技術力に驚く。国の有形文化財でもある。

史料館の見学方法が2015年7月から変更されたようだ。無料から有料に、土日祝日閉館が開館に、直接入場がシャトルバス入場に、などだ。詳しくはwebで確認を。


三菱重工業株式会社長崎造船所
長崎市飽の浦町1-1
見学申込:095(828)4134
長崎造船所史料館HP
長崎県HP
竪削盤:国指定重要文化財・1857年購入
150tクレーン(ハンマーヘッド型起重機):国登録有形文化財・1909年12月設置
史料館:1898年7月木型場として竣工・1985年10月史料館として開設
施設維持管理費:800円(大人)
開館時間:9:00~16:30
休:毎月第2土曜日、年末年始など
撮影:2014/11/18