旧郡築新地甲号樋門・郡築二番町樋門

八代の干拓は1608年に歴史が始まる。400年以上が経過している。周辺には農地が広がり、水路が走る。水路には干拓地内の水を排し海水の流入を防ぐため樋門が設けられている。
旧郡築新地甲号樋門は明治時代に八代干拓に築かれた施設で、1901年に竣工した樋門である。現在は補助的役割を担うが現役の樋門だ。




幅は30mを越え11のアーチ状水路を有する。アーチ部は煉瓦積み、躯体は石積みである。アーチ水路への流入を誘導するように東側には階段状の石積が設けられている。機能に基づく構築の結果ではあろうが、煉瓦積と石積が個性的な意匠を見せてくれる。




樋門の左右には石積の出っ張りが設けられ、樋門の横顔を覗き見ることができる。時期によっては雑木や草が繁茂しており踏み込む際は注意が必要だ。
樋門へのアクセスは思いのほか容易だが、車で走っていると気付かない。




樋門を正面から間近に望むには、船を浮かべるほかない。あるいは水田の畦道から臨むことになる。どちらも管理者の許可等を得ることになろう。




旧郡築新地甲号樋門から南へ500mほど移動した場所に郡築二番町樋門がある。1938年に竣工した。3つのアーチ型水路を有した石積樋門で、14mほどの幅を有する。現役である。70年以上が経過しているが、水田側の姿は建設当時のままだ。




躯体のほかアーチ部分も石積で構成され、控えめに要石が組み込まれている。水を誘導するように構築された2つの階段状の石積は先端が船先のような形状で、樋門の個性的な意匠を演出している。



樋門間近に踏み込むことが可能で、石積をじっくり観察することができる。


旧郡築新地甲号樋門
熊本県八代市郡築二番町地先
八代市HP
現役樋門
竣工:1901年
設計:川口虎雄
国指定重要文化財
撮影:2015/8/1


郡築二番町樋門
熊本県八代市郡築二番町字貮番割194-1地先
農林水産省HP
現役樋門
竣工:1938年
国登録有形文化財
撮影:2015/8/1