三角港から国道266号を東へ2kmほど進むと、モタレノ瀬戸に架かる戸馳大橋が見えてくる。橋を渡ると戸馳島となる。整備された片側1車線から次第に細くなる道を辿り島の南端を目指す。
戸馳島灯台へのアクセスは容易ではない。直近まで車で行くことはできない。途中からは浜辺を10分ほど、坂道を2分ほど歩くことになる。
浜辺に石標がある。これを目印に浜辺から木立の中へ入り索道を3分ほど上がっていく。間もなく石塀と扉が見えてくる。扉には鍵がかかっていないため、敷地内に入ることができる。
純白の灯台が目に痛い。夏の日差しを受けて白色が際立つ。背後には雑草が繁茂する平地がある。1964年4月までは管理人が直接管理していたそうだ。雑草が茂る平地は官舎跡だ。
灯台は円形石造りで、南西方向を正面にして立つ。背後の付属屋入口の軒上には「初点 明治31年5月」と刻まれたプレートが掲げられている。
南東側と正面にあったと思われる窓はコンクリートで塞がれている。北西側の窓は残され、覗き見る内部の壁はコンクリートが塗布されているようだ。付属屋の上部にはあかりとりがあり、内部に光を導いている。
積み上げられた石が表す姿は、色もあいまって美しい。噴出す汗のことも忘れる。
1898年に海の安全を守り始めてから117年、灯器はLEDに変更されているらしいが、今も蔵々瀬戸を行きかう船を寡黙に見つめている。
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戸馳島灯台
熊本県宇城市三角町戸馳
海上保安庁HP
竣工:1898年
現役灯台
撮影:2015/8/1