8620型蒸気機関車 58654号 SL人吉

JR熊本駅とJR人吉駅の間で蒸気機関車が客車三両をけん引している。冬の季節を除く週末のみの運行で、スケジュールをJR九州のサイトで確認できる。

1922年11月に製造された蒸気機関車58654号は現在、観光を目的に運行されている。既に90年を超える時間が経過している。この間、一度は現役を退きJR矢岳駅構内の展示館で静態保存・展示されていた。

1988年にSLあそBOYのけん引機として復活した後、不調のため一旦は引退したが、大がかりな改修を経てSL人吉のけん引機として今を迎えている。



58654号は石造車庫の側を通過し、JR人吉駅1番ホームに到着する。車体は澄み切った黒い輝きを放つ。美しい。黄金色のプレートや飾りがさらに色調を際立たせる。




12時過ぎに到着したSL人吉は14時半過ぎにJR熊本駅へ向け発車する。乗客を降ろしたSL人吉はバックし石造車庫に入る。その後58654号は切り離され石造車庫の前まで移動、石造車庫とのツーショットを演じる。




14時前、58654号は方向変換のため石造車庫の北側にある転車台へ向かう。赤い転車台にバックで乗り込む。音もなく転車台が左回転する。その間僅か4分にも満たない。転車は意外なほど短時間で終わる。黒い煙を勢いよくはきながら再び客車をけん引する。




JR人吉駅を発車したSL人吉は、16時ごろ第一球磨川橋梁に差し掛かる。米国人設計者による米国製の赤い橋梁は、穏やかな球磨川の川面にトラス模様を映す。隧道を出たばかりのSL人吉の黒煙と黒い姿がトラス橋の影と重なる。



JR坂本駅を発車したばかりのSL人吉だ。県道158号との間にはガードレールがあるのみ。間近に立つと、力強い走りが煙と音、風とともに伝わる。




8620型蒸気機関車 58654号 SL人吉
JR熊本駅~JR人吉駅 週末運行(12月~2月の運行なし)
熊本県HP
JR九州HP
製造:1922/11/18
製造者:日立製作所
現役蒸気機関車
撮影:2015/11/21