仙巌園の入口手前左手に駐車場がある。隣接して直線的な意匠の平屋が建つ。尚古集成館である。
ゆったりとした庭には芝が張られ、数本の木々を従えている。瓦が吹かれた屋根は寄棟で、石が積み上げられた壁で建物は構成されているようだ。長屋のように長辺は長く奥行きは浅い。
四角に積み上げられた石は上部から基礎部分に向かい太くなる。建物の途中にある柱のような石積みも上部から基礎に向かい太くなる。実に安定した印象を与える。壁の基礎部分には角が丸められた石が並ぶ。優しい表情だ。
石壁には小さめの窓が規則正しく並ぶ。窓枠の上部はわずかに孤を描く。控えめなアクセントだ。
裏手に回る。意匠は正面と同様である。壁の所々に年月の経過を語る汚れがある。陽光が届かないためかもしれない。
館内は写真撮影が禁止されている。やや暗い照明の中で歴史資料が展示されている。鎧や集成館機械工場時代の機械などが来館者を幕末へ誘う。
天井を見上げると大きな梁が屋根を支えているのがわかる。資料に目が向くが、建物そのものにも魅力を感じる。残念ながら天井部分を照らす明かりは乏しい。
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旧集成館機械工場(尚古集成館)
鹿児島市吉野町9698-1
099(247)1511 HP
竣工:1865
国指定重要文化財
仙巌園HP
入場料:1000円(尚古集成館と共通)
8:30~17:30
撮影:2016/1/17