旧三菱合資会社唐津支店本館

近代化遺産全国一斉公開に合わせて、11月19日・20日特別公開が行われた。知ったのは地方紙の記事だった。
2年ぶりに訪れた門扉に休館中の札はなく、玄関の扉は開け放たれている。植栽には手が入り、整備された庭を散策することもできる。




改めてみる建物の外観は経年劣化が進み、塗装が剥離するなどが見られる。建設当時の色合いはわからないが、退色しているように感じられる。
建物は総2階建てで、北側は1階2階ともベランダが設けられている。東側の北半分にもベランダが設けられている。間近で見ると壮観だ。




玄関に入る。スリッパへ履き替える。床は1階2階とも板張り(資料によれば縁甲板張)である。1階には4つの部屋があり、3部屋が解放されている。




それぞれに資料やパネルが展示され、建物の歴史、東松浦地域の炭鉱産業の歴史などが詳しく説明されている。石炭を取り扱う事業者の事務所として建築されたことから、意匠に拘った部分は見当たらい。実用的な造りだ。しかし、観察を深めるとデザインされた格天井やドアノブ、壁のランプなどに目が向かう。





階段は透かし彫りが施され、親柱の彫刻は目を引きつける。設計者の拘りが少しばかり窺われる。




2階南東側の部屋からは賑わう町と海を眺めることができる。窓は上下に動かし開閉する方式で、今ではあまり見ることがない。

北東側の部屋には赤い絨毯が敷き詰められている。建築当時は主任室という名称がついていたようだ。当時は部屋から海を一望できたのであろう。これら2つの部屋の間に褐色の家具が作り付けられている。窓がある不思議な形状だ。どのような意図でこのような意匠になったのだろうか。





2階には他に2室あり、生活資料などが保存されている。

西側に煉瓦造りの建物がある。展示資料の写真には本館とともに写っている。倉庫らしい。



煉瓦は美しい色を維持している。どのようなものを保管したのだろうか。




旧三菱合資会社唐津支店本館
唐津市海岸通7181番地 HP
唐津市生涯学習文化財課 0955(72)9171
佐賀県重要文化財
竣工:1908/9(掲示による)
特別公開による見学(通常は見学・敷地内立入り不可)
撮影:2016/11/20