多布施川が神野公園の南東に差し掛かるあたり、神野公園通りと多布施川通りの交差点の北に橋が架かる。車両の通過は規制されているが、自転車や人の通行は許されている。意識しなければ老朽化した橋としか見えないし、そこに橋が架かっていることさえ視界にとどまらないだろう。
橋は大正13年7月竣工で、基本部分は石の柱のみで組まれている。九州地域づくり協会ホームページによれば、日本最大級の石桁橋といわれているようだ。
橋の下に目を移すと、5つの橋脚部が支えていることに気付く。それぞれの橋脚部は4本で構成され、合計20本の石の柱が橋を支えている。石の柱は四角柱で、川の流れに逆らわず上流に角を向けて配置されている。欄干や通行面は至って実用的なデザインだ。
親柱には橋の名前と竣工年月日が刻まれている。東側左の親柱には漢字で、西側左の親柱には平仮名で橋の名が刻まれている。
眺めていると、用いられている石の生産地だとか性質、設計者や施工者だとかに関心と興味は向かう。しかし、橋についての詳しい説明は見当たらず、唯一車両通行禁止の看板に竣工年が記されているのみである。
橋の意匠に派手さはない。単に石の柱が並ぶ幾何学的な機能美だけが橋の個性を語る。
すでに車の通行の用に供されていないことから、橋の行く末が気掛かりだ。
□
栴檀橋(せんだんばし)
佐賀市神園(神野公園南東入口)
九州地域づくり協会HP
管理:佐賀市
見学自由
撮影:2017/1/30