旧杵島炭鉱大鶴鉱業所第二坑口

仮屋湾に面する唐津市肥前町梅崎は長閑な風景が広がる。限られた耕地には稲が作られ、海に面しては漁船がつながれている。



国道204号から中央線もなくカーブが続く下り坂を転がるように下りていくと、小さな案合板が呼び止める。そこが目的地だ。あっけなくたどり着いた場所には、周りの風景に溶け込まないコンクリートの構造物があった。





杵島炭鉱大鶴鉱業所第二坑口である。ぽっかり空いた坑口の前は水田で、稲刈りを終えたばかりだ。私有地のため立ち入りはできない。坑道内を覗くことは差し控えた。

坑口は1936年頃に造られたコンクリート製だが、時間の経過を感じない。どうやら坑道内部は煉瓦で組み上げられているようだ。表面はコンクリートで仕上げられているが、凹凸の表情から煉瓦の素顔が見てとれるのだ。




杵島炭鉱大鶴鉱業所の経過については様々情報によって明らかにされている。坑口から500mほど北へ進むと「にあんちゃんの里」がある。記念碑が建てられ、碑文からも大鶴鉱業所の歴史の一端を知ることができる。

坑道の所在地から間もない入江にコンクリート製の架台が並んでいる。使用されているようには見えない。用途は何であったのだろう。





大鶴鉱業所は1956年3月、閉山した。翌年、労働者たちと家族は杵島鉱業所のある北方町、大町町、江北町などへ移住したらしい。


旧杵島炭鉱大鶴鉱業所第二坑口
佐賀県唐津市肥前町梅崎263(文化庁HPでは肥前町入野甲1-3と表示)
文化庁HP
国指定登録文化財
見学自由(但し私有地のため路肩から)
撮影:2017/9/24