平戸市田平町を走る国道204号から県道221号へ入り2㎞ほど進む。なだらかに開けた場所に赤煉瓦の建物が見えてくる。田平天主堂だ。
黒色がかった赤煉瓦で組み上げられた天主堂は巨大で、一瞬に言葉を失う。東西に長い天主堂は平戸瀬戸側が正面だ。
管理事務所で見学の許しをいただき天主堂の正面へ移動する。多様な形の石を積み上げた石垣と長方形の自然石を用いた石段が目に留まる。建築当時の姿が残されているようだ。石段はコンクリートではなく黄土色の土で固められている。
石段を上がると思いのほか広い庭が現れる。行き届いた管理が窺える。天主堂の正面は鐘塔で、上部のドームは八角形である。赤煉瓦を様々に組み上げた造形は見ていて飽きることがない。
天主堂の側面にはアーチ型の窓が規則的に配置される。木造と思われる建物上部の白い壁にもアーチ型の窓が埋め込まれている。
駐車場に入り始めに目にするのが八角形の半分を造形化したレンガ積みだ。祭壇を囲む場所にあたる。あかりとりの窓は白い壁の窓と同様の意匠である。
屋根は黒い瓦で葺かれ、降棟の鬼瓦には十字がデザインされている。妻壁の上部には幾重にも煉瓦が積まれ、建物の印象を強くする。窓上部と軒下の間を下がり石の飾りが埋める。ひとつひとつの造りに視線を奪われる。
駐車場付近の説明板によれば、煉瓦造りの教会堂としては最晩年の建築だ。完成された意匠と評されている。
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田平天主堂
平戸市田平町小手田免19
FB
問:長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター
095(823)7650
重要文化財
設計者:鉄川与助
竣工:1917年
見学可(要許可。無料。内部の写真撮影は不可)
駐車場あり(無料)
撮影:2018/6/24