頭地発電所

人吉市から国道445号を30分ほど北へ走ると五木村の中心地へ至る。道の駅子守唄の里五木、村歴史文化交流館(ヒストリアテラス五木谷)、五木温泉夢唄などの施設が集まる場所である。

国道歩道などから川辺川を見下ろすと、寄棟の屋根を頂いた白い建物が岸辺に見える。導水管などの構造物があることから水力発電設備だということが想像できる。




発電所はJNC株式会社が所有・管理する。出力は5200kWで、生まれた電気は熊本県水俣市にある同社の工場へ送られているようだ。竣工が1928年であることから90年間にわたり自然再生エネルギーを生み続けていることになる。

歴史を刻んだ建物だが、過ぎた年月を感じとれない。管理と保守が行き届いている証かもしれない。発電所の入口までは容易にアクセスできる。塀越しではあるが見学することは可能だ。



社名が掲げられた白い壁、よく見ると煉瓦づくりの建物と同様の凹凸が見られる。オランダ積みに似た凹凸だ。外壁の色は塗り直されていることが想像できる。竣工当時から白い色合いだったのかはわからないが、竣工当時の姿に関心が向く。

1914年に竣工した熊本県大津町にある白川発電所もJNCが所有する水力発電所である。100年を過ぎてもなお、白川発電所の建屋は煉瓦造りの意匠が見事な魅力を放っている。比較して、14年後に竣工した頭地発電所は重厚さも威厳も放たない。発電機を守ることに徹した意匠に映る。それでも白い色に隠れた躯体は建設当時の建築思想が生んだ結晶に違いない。だからこそ、90年経過した現在においても現役で発電し続けることができるのだろう。




国土地理院のWeb版地図に頭地発電所の表示はない。導水管等の表示もない。場所の特定はgooglemapが便利で正確と言えそうだ。


頭地発電所(JNC株式会社所有)
熊本県球磨郡五木村久領301
竣工:1928年
塀の外から見学可能
撮影:2018/8/18