水田や畑が広がり、幹線道路に沿い住宅や商店が点在する背後に整然と街区を整えた一角がある。近接して工場、小学校もある。宅地開発された場所と思っていたがその成り立ちは違っていた。陸軍飛行場の跡だった。
菊池市のホームページを検索すると市指定の文化財として紹介されていた。花房飛行場給水塔である。平成19年まで使用されていたというから、使われなくなって10年しか経過していない。コンクリート製と思われる円形の給水塔に決定的な損傷は見当たらない。6本の脚が円筒を支えている。壁の一部には穴が開いていたが、どのような理由によるものかはわからない。下部の部屋はどのような役割と機能を有していたのだろう。ポンプ室だったのかもしれない。時間を得て調べてみたい。
袂には泗水町による説明板が設置されている。平成17年3月の表示がある。近辺には関連遺構が残されていた。関連遺構の所在地は説明板の地図に落とされている。
飛行場跡の南東部、アパートが建つ側にコンクリートの構造物があった。花房飛行場の戦争遺産を未来に伝える会というクレジットの表示によれば、木造大型格納庫基礎とある。説明版そばにある構造物壁面には複数の穴がある。機銃掃射によるものとされる。こちらも私有地にあり立ち入りはできない。構造物の大きさに威圧される。隣接するアパートとの比較からその規模がわかるだろう。
給水塔と木造大型格納庫基礎の中ほどの場所に弾薬庫が残されている。強固な印象を受ける。手前には資材が置かれている。敷地は使用されているのかもしれない。建物内部が利用されているのかはわからない。赤茶けた扉は閉ざされている。
飛行場跡の北西部、住宅が規則正しく建ち並ぶ道路に沿いコンクリートの構造物が残されている。格納庫跡だ。気を配らなければ見逃してしまう。1mほどの高さに過ぎないが、頑強な印象を受ける。住宅の塀として機能しているようだ。
花房飛行場跡の遺構は民地に存在している。個人の善意によって遺構が守られているように思えた。
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花房飛行場跡給水塔・関連遺構
菊池市泗水町吉富
給水塔は菊池市指定文化財
管理者:民間と思われる
見学:道路から可能(私有地につき立ち入り不可)
※駐車場なし。住宅地につきモラル厳守
撮影:2018/6/2