旧中野病院(山辺道文化館)

久留米市草野町は同市御井府から日田へ至る古街道の途中に位置し、宿場町として栄えた。現在も古い民家が残り、面影を感じることができる。
世界のつばき館(入館無料)の駐車場に車を停めさせていただき、県道151号を東へ歩いてみた。県道がクランクする地点から南へ折れ緩やかな坂道を進むと、鶯色の下見板張りで装った建物が見えてくる。堂々たる構えに圧倒される。



窓は木製の枠が維持され、庇の飾り、妻壁の飾り、基礎部分に設けられた換気口の意匠などから古い建物であることがわかる。説明書きによると建物は病院として1977年頃まで使用されていたもので、1997年から2年をかけて修復されたようだ。




館内への入場は無料、利用する場合は有料だ。室内は白壁を基調とし、エントランスから左へ折れる上部にはアーチ状の飾りが施されている。上品なデザインだ。




2階へ進んでみる。階段に備えられた親柱は丸みを帯びた素朴な意匠で、優しさを感じる。2階には2部屋あり、深い褐色のテーブルと椅子が並べられたホールは南北に風が抜ける。やわらかい白色の天井には湾曲した八角形の意匠が施され、シャンデリアが下がる。訪問した日は絵の展示会場として利用されていた。毎週木曜日は食堂が開かれ食事を楽しむことができるらしい。




エントランスから南側へ抜けてみると駐車場が用意されていた。一角には倉庫棟が建っている。敷地は管理が行き届き、来訪者をストレスなく招いてくれる。



竣工から100年以上が経過した建物、建築当時の材料などを生かし改修するには多額の費用を要したであろう。維持・管理の費用もまたそうであろう。それでも残し活用することで、私たちや未来の人々に伝えたい何かがあるように感じた。

周辺には散策を誘うスポットが点在する。組み木工房、古風な木造住宅など、車を降り歩けば草野町を楽しむことができるはずだ。

【組み木工房 作品】



旧中野病院(山辺道文化館)
久留米市草野町草野487-1
0942(47)3015 HP
竣工:1914年
木造洋風2階建寄棟造瓦葺
本館棟面積379.75㎡ 倉庫棟面積26.49㎡
登録有形文化財:1999年2月17日登録
入館無料
10:00~17:00
休:月曜日、祝日の翌日、年末年始
撮影:2018/10/14